「二つの風景から」(7月号)


 毎朝、体育館と校舎の間の通学路にたって生徒たちに「おはよう」と声をかけて出迎えている。その場所から見える二つの風景がある。

 一つは、体育館の屋根の雨樋に雑草が生えている。六月初めから少しだけ見えていたのだが、空梅雨の日照りで枯れてしまうだろうと思っていた。しかし最近の雨で息を吹き返し、青々として大きくなってきている。おそらくほこりが溜まったくらいの少量の土に根ざしているのだろう。これ以上厳しい環境はないのに雑草のたくましさか。毎日見ていると、何となくこちらまで元気になってくるような気がする。そのたくましい雑草の下を毎日通っている生徒たちにも、「たくましさ」が身につく教育が必要だと考えている。

 二つ目は、体育館の壁に作っていた燕の巣がある日壊れて落ちてしまった。乾燥しすぎたからか、他に原因あるのかわからない。確かヒナが生まれていたはずなのに、ヒナはどうなったのだろう。そして何日か後には、巣がまた元のようになっていた。ヒナを失った悲しみもあるはずなのに、次の世代に生命をつないでいく本能なのか、実にたくましい。
 ある日、風の噂で、巣から落ちた燕のヒナを生徒何人かで世話をしていると聞いた。その時、何とも言えないうれしい気持ちになった。ヒナが無事だったから、それ以上に心優しい生徒たちの姿。ヒナが無事に育つよう祈らずにはいられない。

 すばらしい環境の中で、生徒たちは日々成長している。そして、すばらしい周りから私自身が教えられることの多い毎日に感謝している。

   2005年 7月 1日
臼杵市立北中学校
校長

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