「卒業式式辞」


 水温み、風光る、生命かがやく季節となりました。
 ここに、第四四回卒業式が、多数のご来賓並びに保護者の皆さまのご臨席を賜り、厳粛に挙行できますことは誠に喜ばしく厚く感謝申し上げます。

 ただ今、晴れて卒業証書を手にされた八八名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。いつにも増して引き締まった表情に、充実した三ヶ年を過ごした満足感と新たな決意が感じられます。
 卒業生の皆さんは、実に大きな足跡を本校に残してくれました。特に最上級生となった四月以降、北中のリーダーとして、学校生活や生徒会活動はもちろん体育大会や文化祭、中体連の大会や音楽会、弁論大会などあらゆる行事の先頭に立って力を発揮しました。その実力は臼杵市内にとどまらず、県や全国の大舞台でも認められ、本校の伝統に輝かしい一ページを加えてくれました。そして、何よりその姿は、後に続く一、二年生にとって身近で最高のお手本となり、ねばり強くがんばることの大切さを教えてくれました。

 皆さんは今日、卒業という未来の扉を一つ開けて進みます。扉の向こうには新たな出会いが待っています。やり甲斐のある目標も見つけることでしょう。新しい夢の始まりです。
 しかし、時として途方もなく高い壁に突き当たることがあるかも知れません。そんな時こそ、本校の校訓である「自主、友愛、根性」の精神で、集中力とねばり強さを発揮して前途を拓いてほしいと思います。

 卒業にあたり標語を一つ紹介します。

ちょっと待て、やって良いこと悪いこと。迷う時、母の瞳を思い出せ。

 私が通っていた小学校の橋のたもとに建てられていた標語です。もう五〇年以上、私の頭にこびりついています。
 「ちょっと待て、やって良いこと悪いこと。迷う時、母の瞳を思い出せ」
 判断に迷った時、母でなくても良いのですが、あなたを一番心配してくれる人の瞳を思い出せということです。今あなたがしようとしていることを、あなたを信じてじっと見つめている瞳があることを忘れないで下さい、ということです。
 かけがえのない命がいとも簡単に扱われる信じられないできごとが報道されます。親や教師が子どもに危害を加える事件があります。生徒がさらに弱い立場の子どもを傷つける事件もあります。
 大きな犯罪でなくても、歩道の植え込みにポイ捨ての空き缶があります。差別のトゲで友だちを傷つけることもあります。
 人間いくつになっても一瞬の誘惑に心が乱れ、善悪の判断を誤りそうになることがあります。そんな時、「ちょっと待て」を思い出してほしいのです。

 保護者の皆様にお礼を申し上げます。お子様のご卒業まことにおめでとうございます。入学以来、さまざまなご心配やご苦労もあったことと思います。立派に成長した姿を見てあげて下さい。どこに出しても自慢できる生徒たちばかりです。これまで学校に寄せられましたひとかたならぬご支援ご協力に厚くお礼申し上げます。
 子どもたちは今日、一つの節目を通過します。これからも周りの支えは必要です。思い悩んでいる時、ポンと背中を押してやる人生の先輩の一言は大きいものです。私たち教職員はこれからも卒業生を見守っていきたいと思います。

 卒業生が新たな夢の実現に向かって力強く羽ばたくことを願うとともに、卒業生から多くを学んだ在校生の活躍も期待して式辞と致します。

   2004年 3月 5日
臼杵市立北中学校
校長

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